
2024年度 すみれ組のみなさん、保護者の皆様、卒園おめでとうございます。
感動的な卒園式終了後も、園児達が保育園に通ってきてくれていること、うれしく感じています。
最後の坐禅会ですみれさんに話したこと
~アメリカ生まれ、アメリカ育ちの私が英語を話せなくなった理由~
実は、卒園式終了後も園児達は東光寺に最後の坐禅体験に来てくれました。
その際に彼らに話をさせていただきました。
それは、私自身の生い立ちのことです。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は袖師保育園の卒園生です。
入園をしたのは年中組から年長組になる頃です。
アメリカで生まれた私は、現地の保育園に通っておりましたので、そこで友人たちと英語で話をしていたそうです。
※記憶力が悪いのでまったく覚えていません。
そのため、ほとんど日本語が話せない状態で袖師保育園の年中組に入園したわけですので、当時を知る友人に
「日本語が話せないお前が入ってきてビビったのをよく覚えている」
と今でも言われます。
では、当時ペラペラに喋れていた英語はどうなったのでしょうか。
・・・完全に忘れました。
英語での生活から日本語の生活に変わったことにより、あっという間に日本語を習得し、小学校に入る頃には日本語しか話さなくなりました。
そして、ときは流れて中学校で英語の授業が始まる頃には、友人に指摘されなければ自分が以前英語を話していたことすら忘れるくらい、完全に英語を忘れていました…
このことを周囲の方に話すと、ほとんどの方が
「もったいない」
とおっしゃいます。
私もそう思います。
幼少期に身につけたことを、知らないうちに忘れてしまうことは本当にもったいないことだと思います。
では、袖師保育園を卒園する園児達はどのような習慣を手に入れたのでしょうか。
卒園式での言葉をもう一度お伝えしたい
卒園式の際に私は保護者の皆様に以下のようなことを話させていただきました。
~園長式辞の原稿より~
すみれ組のみなさん卒園おめでとうございます。
私はすみれ組のみなさんと、一緒に坐禅ができたことをうれしく思っています。
坐禅に来てくれたみんなは、いつも素直な目で物事を見て、素直な心で人たちの言葉を聞き、そして今の挨拶のように目の前のことにいつも全力で取り組んでくれていました。
これからも、そのままの姿でいてください。そうすれば、みなさんの未来がすばらしいものになることは間違いありません。頑張ってください。
保護者のみなさま、本日は本当におめでとうございます。
仕事や家事を両立しながらお子様の成長を支え、温かく見守ってこられた保護者の皆様に、心から敬意を表します。
さて、このようなおめでたい日に、このような話をして良いのか迷いもありましたが、ぜひ保護者の皆様にお伝えしたいことがあります。
私は、今年のすみれ組さんのことが”怖い”と思ったことがあります。
それは、すみれ組さんがお寺に坐禅体験に来てくれたときのことです。
いつものように、礼儀正しく本堂に入り坐禅をする座布団に座ったときに多くの園児が天井を指さし、
「あ、電気が変わってる!」
と言ったのです。実は、前の月に彼らが坐禅にきた後に、天井の電気を丸型蛍光管からLED電球に変えたのです。
お寺の本堂には多くの方が来られます。毎月のように来られる大人も少なくありません。
しかし、電気が変わったことに気が付く大人は誰もいませんでした。電気がそこにあることへの感謝の気持ちなどなく、電気がついていることが当たり前になっているので変化したことに気が付かないのです。
しかし、彼らの多くが「あ、電気が変わってる!」と気が付いたのです。
この言葉を聞いたとき、彼らの見えている世界は、私達大人が想像するよりも遥かに多くのことを純粋な目で見て常に学び続けていることを感じました。
そして、今の自分の姿は彼らの目にどう映っているのだろうか。大人として恥ずかしい姿になっていないかと考えると怖くなりました。
しかし、怖いと思うと同時に、彼らが袖師保育園に通ってくれていて本当によかったとも感じました。
それは、保育園の中で彼らを一番近くで見守り、接している職員が素晴らしいからです。
袖師保育園の職員はお預かりしたお子様を無事に保護者の元へ帰すことはもちろんのこと、自分のことよりもまず園児のことを考える職員ばかりです。
その職員が、園児達に大切なことを伝えようと日々努力を続けてくれています。
このことは、様々な行事や日々の様子を見てくださっている保護者の皆様もご理解いただいていると思います。
だからこそ、多くのことに気づき、多くのことを無条件に学ぶ大切な時期を彼らが袖師保育園で過ごしてくれてよかったと思いました。
園児達はこの大切な時期に多くのことを学び成長してくれました。
その中には彼らのこれからの人生を支える大切な習慣があります。
元気に挨拶をすること
素直にありがとうと言うこと
そして、心を調えることです。
この心を調える習慣は、1ヶ月に1度の坐禅体験で得られた習慣ではありません。
先生方が毎日の保育の中で、必ず体を調え、呼吸を調える時間を作ってくれています。
背中を伸ばして体を調え、ゆっくり息をして呼吸を調えれば、自然と心が調ってきます。
この習慣を彼らは持っています。
この習慣によって彼らの心は、よく耕された栄養満点なフカフカの土のような状態になっています。
栄養満点のフカフカの土に植えられた種が大きく成長するように、
調った彼らの心に、チャンスと言う種が植えられれば大きく成長することは間違いありません。
~以下、省略~
袖師保育園での学びを未来へ繋ぐ
~こどもたちの心がいつまでも
フカフカでありますように~
だからこそ、この場を借りて保護者の皆様にお願いがあります。
栄養満点のフカフカの土も、適切な手入れがされなければ、やがてカッチカチに固まってしまいます。
彼らの純真無垢で調った心も同じです。様々な刺激によってギュッと固まってしまうこともあると思います。
固まった土にどんなに立派な種がまかれても、その種は土の中に入り込むことすらできません。
心の問題も同じです。
しかし、固まった土を再び耕すことができれば、土はフカフカになるように、
例え困難にぶつかって彼らの心が固まってしまっても、再び心を調える方法を彼ら自身がこれまでに体験し覚えています。
それが、袖師保育園で大切にしてきた体を調え、呼吸を調えるということです。
残念ながら、小学校や中学校や高校、さらに社会に出た後も、保育園のようにみんなで心を調える機会はほとんどありません。
しかし、ここにはあります。
それが、彼らが通った東光寺で行われる子供坐禅会です。
春休み、夏休み、冬休み、学校の長期休暇に合わせて行っています。
袖師保育園での生活の中で、先生方から学び実践した心を調える習慣はここにあります。
彼らの心がカチカチの土のように凝り固まってしまうのか、それとも、柔らかな心のままに成長していくかは、私達周囲の大人にかかっています。
ぜひ、袖師保育園でこれまでに学んだ様々な良い習慣をこれからも大切にしていただき、これからも子供達の成長を一緒に見守ってくださることを祈っております。
東光寺では袖師小学校・袖師中学校にご理解をいただき、坐禅会のチラシを全校生徒に配布させていただいています。
しかし、子供から保護者へプリントが届かないことや、袖師学区以外には紙媒体での配布ができません。
東光寺の子供坐禅会のお知らせは、東光寺のホームページ(https://tokozenji.net/wp/)でも確認いただけますし、東光寺公式lineに登録いただければ季節ごとにお知らせが届きます。
また、様々な事情により参加が難しい方にはオンラインでの参加も可能な坐禅会となっていますので、ぜひご活用ください。

幼少期に身につけた英語を跡形もなく忘れることが
「もったいない」
と実感する私だからこそ、
袖師保育園の先生方によって身に付いた大切な習慣をこれからも大切にしていただきたいと切に願っています。
改めまして、
卒園おめでとうございます!
2025年3月31日
袖師保育園 園長 横山友宏


